ヒルクライムとハンガーノックとアンカーとトラウマ
結論から言うと、アンカーが嫌いです。
誤解しないで欲しいのですが、別にアンカーのロードバイクが嫌いというわけでも、ブリヂストン・アンカーが嫌いというわけでもありません。
では何故嫌いなのか?
それはヒルクライムレースの試走に行ったときのこと・・・
その日は、まだまだ残暑も厳しく、暑い日だった。
その日の試走の予定
1.自走でヒルクライムレース会場 (90キロ、標高差400mほどの峠あり)
2.本番さながらのヒルクライム×2本 (15キロ、標高差700m)
3.同様のコースで帰宅
朝、家を出てTTさんとヒルクライムレース会場の山まで自走。
途中に一番嫌いな標高差400mほどのS峠があります。
このS峠の何が嫌いかって、まずは斜度。
斜度10%以上で3キロほどの登りがあります。
次に、コース。
九十九折が多く、急カーブばかりあるし、道は狭いし、アスファルトの滑り止めで走りにくい。
(ちなみにS峠を脚をつくことなく登れるようになれば、脱ヒルクライム初心者だそうです。)
それでも何故そこを通ることにしたかというと、今回試走に行くヒルクライムレースのラスト前3キロは、斜度10%以上の登りがあるからです。
ヒルクライムレースの負荷に慣れるために、敢えてそのコースを選びました。
自走して2時間、まだ脚がフレッシュだったので、難なく登ることが出来ました。
2時間後、ヒルクライムレース会場に到着します。
10時半頃に到着してすぐ、スタート地点を確認して、ゴールを目指して擬似ヒルクライムレースを開始します。
TTさんは以前に出場したらしく、TTさんのその時のリザルト60分を切ることを目標にします。
スタート~5km地点までは、じょじょ(←なぜか変換できない)に斜度が上がっていき250mほど登ると、下り区間に入ります。
5km~6km地点までは、50m下ります。
6km~8km地点までは、平坦区間があります。
9km~10km地点までは、じょじょに斜度があがって行きます(高低差100mほど)
10km~ラストは、気合で登ります(高低差400mほど)
なので、6キロ地点まではウォーミングアップ、6キロ地点から本番といった感じです。
コースを確認しつつ、ベストを尽くせるように必死にヒルクライムしていきます。
大会間近なのか、ほかにもヒルクライムをしている人たちがたくさんいます。
その人たちを横目に見ながら、登って行きます。
60分を切ることは出来ませんでしたが、脚をつくことなく登りきることが出来ました。
頂上で350mmのコーラを飲み、すぐに山を下ります。
もう一度ヒルクライムをするためと、お腹が空いていたので早く昼ごはんを食べるためです。
スタート地点まで行き、再度スタートします。
スタートしてすぐに、重いギアが踏めなくなります。
1本ヒルクライムをしてきたのだから当然だと思い、ギアを落としてケイデンスを上げて行きます。
けれど、苦しい。というかぜんぜん進まない。下り区間に入る前の登りでTTさんに置いていかれます。
下り区間と平坦区間で追いつかないとと思い、ギアを上げて、ケイデンスをあげるけど、ぜんぜん進まず、どんどん差が開いて行きます。
平坦区間が終わり、登り区間になるころにはTTさんの影も形もありません。完全に置いていかれたようです。
登り区間になりそれでもペダルを回そうとするのですが、ケイデンスがどんどん落ちて行きます。
ギアはとうとうインナーロウになり、登りの途中で脚をついてしまいました。
おかしい、なんでこんなにすすまないんだ。というかもう登れない。
立って歩くことも出来ません。心も完全に折れたようです。
ふらふらになりながら、道路脇でとりあえず休憩することにします。
ボトルの水を飲もうにもすでに空、補給食もありません。
のどはカラカラ、お腹も空きすぎて、出発してから今までまともに補給をしていなかったことに気づきます。
どうやらハンガーノックになったようです。
すると、1人のサイクリストが登ってくるのが見えました。
メチャメチャ速いです。たぶん試走している人の中で一番速いです。
けれど登りであんなスピードは出せないなと思ってしまいました。
あこがれにもあきらめにも似た感情がわきました。
道路脇でへばっているのを見て、すれ違い様に何か言ってきました。
「距離は3分の2、時間は半分!」
一瞬何を言われたのか分かりませんでしたが、あと3分の1の距離で、今まで漕いで来た時間の半分で頂上だ。
という意味のようです。
その時は全く意味が分かりませんでした。
助けを求めようと思ったのですが、よく分からないことを言われたので、諦めて下山することにしました。
TTさんに連絡するも繋がらず、テキストで近くの道の駅に非難する旨を伝えます。
1時間ほどかけて、ようやく道の駅まで着くことが出来ました。
TTさんを待とうとも思ったのですが、回復させるのが先と思い、パンを3つ、ジュースを3本飲み、しばらく横になります。
1時間くらいでTTさんと合流しました。
話を聞くと、TTさんもハンガーノックになりながらも頂上まで登ったようです。
根性ではTTさんに勝てないと思いました。
道の駅でご飯を食べるも、TTさんは少ししか食べません。
いつもご飯のお代わりが出来る店じゃないと行かないTTさんが!
ハンガーノックになりながら、ヒルクライムをお代わりしたのが原因のようです。
TTさんはどうしても自走で帰る体力がないので、タクシーで帰るといいます。
しばらく横になって様子を見ようという話になり、30分ほどベンチで寝ることにします。
休んだ甲斐があってか、TTさんは少し回復したようです。
あまり登れる気力がなかったため、帰りのルートを変更して、斜度は緩いけど少し距離が長いルートを選択しました。
結果的にそれは正解で、なんとか無事にうちへ帰ることが出来ました。
帰ってから今日あった出来事を思い出します。
「距離は3分の2、時間は半分!」
あのときは本当に辛かった。補給が大事ってことを思い知らされた。
「距離は3分の2、時間は半分!」
ヒルクライム2回目は登れなかったなぁ。本番に登れなかったことが響かなければいいけど。
「距離は3分の2、時間は半分!」
本番までに60分を切れるように頑張らなければ。
「距離は3分の2、時間は半分!」
というか、目標は50分切りだから、もっと頑張らないと。
「距離は3分の2、時間は半分!」
「距離は(ry
だぁぁぁ!うるせぇ!
思い返すとだんだんムカついてきました。
あの時、何も言い返せなかった事が悔やまれます。
だから、決めました。
トラウマとして自分の中で刻み、絶対にその人より速くなることを!
そして、言ってやりたいと思います。
アンカーのウェアでアンカーのバイクに乗って颯爽と登っていってすれ違い様に言ってきたことをそっくりそのままね